最初の 90 分で何を聞くか(インタビューの設計)

 著者: PRONOWA 運営
F
左から右へ、乱れた波形がしだいに整っていく
図版: PRONOWA(オリジナル)

外部の専門家が企業に入るとき、最初の仕事は分析ではなくインタビューです。ここで聞けなかったことは、後から資料を読んでも出てきません。

最初の 90 分の設計を書きます。

前提: 相手は「何が問題か」を言えない

「月次決算が遅い」と言われたとします。これは症状です。原因は、証憑が集まらない、承認が止まる、システムが分かれている、担当者が 1 人しかいない、のどれかかもしれません。

相手が言うのは、たいてい症状です。症状をそのまま課題として受け取ると、間違ったものを直します。 インタビューは、症状から原因へ降りていく作業です。

90 分の配分

時間 何を
0〜10 分 自己紹介と、今日のゴールの確認
10〜35 分 困っていることを、相手の言葉で話してもらう(さえぎらない)
35〜70 分 深掘り。「いつから」「どのくらい」「誰が」
70〜85 分 次に見せてほしい資料を決める
85〜90 分 まとめを声に出して確認する

10〜35 分をさえぎらないのが一番難しく、一番大事です。経験のある方ほど、5 分で見当がついてしまいます。そこで話し始めると、相手が本当に困っていることが出てきません。

聞く順番: 事実 → 経緯 → 感情

  1. 事実「いま、その作業に何日かかっていますか」
  2. 経緯「いつからそうなりましたか。その前は何日でしたか」
  3. 感情「それで一番困るのは、どの場面ですか」

3 番目が抜けると、正しい提案なのに通らないことが起きます。人は困っていることを直したいのであって、非効率を直したいわけではありません。

深掘りの 5 つの質問

  • 「いつから」— 変化した時点が分かると、原因の候補が絞れます
  • 「どのくらい」— 数字にする。「遅い」ではなく「20 営業日」
  • 「誰が」— 作業者、承認者、止まる人
  • 「前に試したことは」— たいてい試されています。なぜ駄目だったかが最重要
  • 「もしこれが直ったら、次に何が困りますか」— 本当のボトルネックが出ます

最後の質問が効きます。「決算が早まったら、次は何が」と聞くと、「実は資金繰りの見通しが立たないのが本当の悩み」と出てくることがあります。

社長と現場で、聞くことを変える

社長に聞く 現場に聞く
主題 どうなったら成功か。いつまでに 実際に何が起きているか
数字 経営として見ている指標 1 件あたりの時間、件数、手戻りの回数
制約 予算、人を増やせるか 使えない時間帯、触れないシステム
触れない話 人の評価、誰が悪いか

現場に「誰が問題ですか」と聞かないでください。 外部の人が人事の話に入ると、そこから先は誰も本当のことを話しません。

聞いてはいけない聞き方

  • 「なぜこんなやり方をしているんですか」→「経緯を教えてください」
  • 「普通はこうしますよね」→ 比較は自分の頭の中だけにとどめる
  • 「これは無駄ですね」→ 初日に評価を言わない
  • 誘導する質問(「○○が原因ですよね?」)→ 相手が合わせてしまう

終わり方

最後の 5 分で、聞いたことを声に出してまとめます。

「今日うかがったのは 3 点です。① 月次が 20 営業日かかっている、② 2 年前の担当者交代から遅くなった、③ 一番困るのは銀行への提出が間に合わないこと。合っていますか」

この確認で、たいてい 1 つ訂正が入ります。 その訂正がいちばん大事な情報です。

その日のうちに、5 行のメモを送ります。次に見せてほしい資料もそこに書きます。

この回でやること

  1. 90 分の配分を紙に書き、次のインタビューで時計を見ながらやってみる
  2. 深掘りの 5 つの質問を、自分の言葉に直して手元に置く
  3. 「もしこれが直ったら、次に何が困りますか」を必ず 1 回聞く

企業側がどこまで準備できているかは会社によります。「初めて外部の専門家に頼む前の 7 つ」を読むと、相手が何を用意できていないかが分かります。

この記事は PRONOWA 運営の経験と公開情報をもとに AI の補助で下書きし、運営が確認・加筆しています。