雇われていない人の距離感(顧問・業務委託で企業に入るときの前提)

長く会社員をやってきた方ほど、外部の立場で企業に入ったときに戸惑います。仕事の中身は同じなのに、立っている場所が違うからです。
いわゆるビジネスマナーの本には、この話は書いてありません。名刺の渡し方ではなく、立場の話です。
前提: あなたは指揮命令を受けない
業務委託契約は、仕事の結果に対して報酬を払う契約です。雇用契約のように、労働時間を提供して指揮命令に従う契約ではありません。
この違いが実務で現れる場面。
| 場面 | 社員のとき | 外部の立場のとき |
|---|---|---|
| 作業の進め方 | 上司の指示に従う | 自分で決める。成果物で合意する |
| 勤務時間 | 決められた時間に働く | 稼働日は合意するが、時間の拘束は本来ない |
| 他の仕事 | 副業規定に従う | 原則自由(競業・守秘は別) |
| 代わりの人 | 配置は会社が決める | 自分で判断できるのが原則 |
「本来は」と書いたのは、実態がこうなっていない現場があるからです。そこが次の話です。
偽装請負にしないために
契約書が業務委託でも、実態が指揮命令を受けた労働なら、労働者として扱われることがあります。これは企業側のリスクであると同時に、あなたの立場を不安定にします。
現場でよく起きるずれ。
- 朝礼に出て、その日の作業指示を受ける
- 勤怠を社員と同じ仕組みで打刻させられる
- 契約に無い業務を「ついでに」頼まれ続ける
- 席が固定され、常駐が前提になっている
こうした状態が続くと、実態は雇用に近づきます。言い出しにくいからこそ、最初に決めておくのがいちばん楽です。
最初に握っておく 4 つ
- 成果物か稼働か。「月次決算を○日までに締める」なのか「週 1 日入る」なのか。後者でも、時間ではなく日で握ります。
- 窓口を 1 人に決める。複数の部署から直接依頼が来る状態は、指揮命令に近づきます。「依頼は○○さん経由で」と最初に伝えます。
- 契約範囲外の頼まれごとの扱い。断るのではなく「それは範囲外なので、やるなら別途お見積りします」と言える形にしておきます。
- 連絡が取れる時間帯。24 時間つながる前提にしない。これは相手のためでもあります。
この 4 つを最初の 1 回で決めておくと、あとの 3 年が静かになります。
「社員より詳しい」を出しすぎない
外部から入る方は、たいてい経験が長く、その領域に詳しい。だからこそ気をつけたいことがあります。
社内には、その状態を選んだ人と、選ばされた人がいます。 「なぜこんなやり方をしているのか」には、たいてい歴史があります。前任者の失敗、社長の意向、システムの制約。正しさだけで押すと、正しくても通りません。
最初の 1 か月は、直すより先に聞く。これが結局いちばん早い、というのが多くの方の実感です。次の回で詳しく扱います。
役職で呼ばれたときの返し方
「顧問」「先生」と呼ばれることがあります。呼び方はどうでもよいのですが、上下関係になると仕事がやりにくくなります。
指導する立場に置かれると、質問が来なくなります。質問が来なくなると、問題が見えるのが遅れます。「一緒に見ましょう」の距離感を保つほうが、結果として早く直ります。
この回でやること
- いま入っている(入る予定の)契約で、成果物か稼働かを確認する
- 依頼の窓口を 1 人に決め、相手に伝える
- 契約範囲外を頼まれたときの言い方を、自分の言葉で 1 つ用意しておく
労働者性の判断は、契約書の文言ではなく個別の実態によります。具体的な契約の設計は社労士・弁護士にご確認ください。契約書で確認する項目は「業務委託契約を結ぶ前に決めておく 8 項目」に書いています。
この記事は公開情報をもとに AI の補助で下書きし、PRONOWA 運営が確認・加筆しています。労働者性の判断は個別の実態によります。具体的な契約の設計は社労士・弁護士にご確認ください。
