企業の方へ

外部の専門家に頼む前に決めておくこと

 初回公開 2026年9月18日 PRONOWA 運営

受け入れ体制、情報の渡し方、契約の型。この 3 つを決めてから声をかけると、最初の 1 か月の進み方が変わります。

外部の専門家に頼んで「思ったほど進まなかった」という話を聞くと、原因の多くは専門家の力量ではなく、頼む側の準備にあります。社内に受け入れ体制がないまま人だけ入れても、質問への返答が滞り、作業が止まります。

このガイドは、声をかける前に社内で決めておくことを、受け入れ体制・情報管理・契約の 3 つに分けてまとめたものです。全部で 30 分ほどの検討で済みます。

まず、受け入れ体制を決める

困りごとを 1 文にする

「経理を何とかしたい」は依頼になりません。「月次の数字が出るのが翌月 25 日で、判断が遅れている」まで絞ると、頼める相手が決まります。

困りごとが複数あるなら、最初に頼むのは 1 つだけにしてください。同時に 3 つ渡すと、どれも中途半端になります。2 つ目は、1 つ目の進み方を見てから足せば間に合います。

社内の窓口を決める

専門家とのやり取りを誰が担当するかを決めます。経営者本人が窓口になるなら、週にどれだけ時間を割けるかも決めておいてください。目安は週 1 時間です。これが取れないなら、窓口は別の人にしたほうが進みます。

窓口が曖昧だと、「誰に聞けばいいか分からない質問」が溜まります。溜まった質問は、たいてい経営者のところへ最後にまとめて来ます。

期間と区切りを決める

「とりあえず 3 か月」ではなく、「3 か月後にここまで来ていれば続ける」という線を先に引きます。線がないと、続けるか止めるかの判断が感情の話になります。

区切りは 1 か月ごとに置くのがおすすめです。最初の 1 か月は現状把握、2 か月目に打ち手の提示、3 か月目に実行、という組み立てなら、1 か月ごとに軌道修正できます。

社内にどう説明するかを決める

外部の人が入ると、社員は「自分たちのやり方が否定される」と受け取りがちです。特に、長く同じ業務を担当してきた人ほどそう感じます。

先に社員へ伝えることは 3 つです。誰が何のために来るのか、いつまでいるのか、社員は何を求められるのか。これを言わずに人だけ入れると、資料が出てこない、会議に人が来ない、という形で抵抗が出ます。

次に、情報の渡し方を決める

渡せる資料を一覧にする

試算表、直近 3 期の決算書、就業規則、主要な契約書、組織図、事業計画。このうち何を渡せるかを一覧にします。「今は出せない」ものがあっても構いません。出せないことが分かっているほうが、専門家は別の進め方を組めます。

見られる範囲を決める

会計ソフト、勤怠システム、販売管理、共有フォルダ。どれに閲覧権限を渡すかを決めます。渡すなら閲覧のみか、入力もできるようにするか。ここを曖昧にしたまま「とりあえず全部見せる」とすると、あとで戻すのが大変になります。

権限は、必要になった時点で足すほうが安全です。最初は狭く始めてください。

秘密保持の範囲を決める

秘密保持契約を結ぶのは当然として、中身で決めておくことが 3 つあります。

  1. 何が秘密情報か。「当社が開示した一切の情報」と書くだけでは、実務で線が引けません。顧客名簿、原価、給与、未公表の計画など、具体を挙げてください。
  2. いつまで守るか。契約終了後も続く期間を決めます。
  3. 終了時にどうするか。データの返却か削除か、削除なら報告を求めるか。

個人情報を渡すときは、別に考える

従業員や顧客の個人情報を渡す場合は、秘密保持とは別の話になります。委託先の監督が必要になり、社内の規程や公表している方針との整合も要ります。**渡す前に確認してください。**PRONOWA では、個人情報を含む資料の受け渡しについて、専門家との間で別途取り決めを結ぶことを推奨しています。

最後に、契約の型を決める

業務委託の 2 つの型

業務委託には、大きく 2 つの型があります。

  • 仕事の完成を約束する型。成果物を決めて、それが出来たら支払う。制度設計、規程の作成、システムの選定など、終わりが見えるものに向きます。
  • 業務の遂行を約束する型。期間と稼働量を決めて、その中で動いてもらう。顧問、アドバイザー、継続的な管理業務に向きます。

どちらかを決めてから金額を話してください。型が決まらないまま「月いくら」だけ決めると、何をどこまでやるかで後からもめます。

決めておく項目

  • 業務の範囲(やること、やらないこと)
  • 稼働の目安(週何日、月何時間)
  • 報酬と支払期日
  • 成果物の扱い(著作権、二次利用)
  • 秘密保持
  • 中途で終わるときの条件と手続き

「やらないこと」を書くのを忘れがちです。たとえば経理を頼むとき、決算・申告まで含むのかどうかは、書かないと双方の理解がずれます。

支払いの条件は先に決める

報酬額、締め日、支払日をあらかじめ書面にしてください。フリーランスへの発注には、取引条件を明示する義務や、支払期日の定めがあります。**発注する側の義務です。**下の「出典と確認日」に挙げた官公庁の案内で、自社の取引が対象になるかを確認してください。

最初の 1 か月の進め方

1 週目は、資料を渡して現状を見てもらう週です。この週に会議を詰め込まないでください。 2 週目に、専門家から「見えたこと」を聞きます。この時点で打ち手を求めないでください。 3 週目に、優先順位をつけます。ここで社内の事情を全部出してください。 4 週目に、最初の打ち手を決めて、誰がいつまでにやるかを書きます。

この形にすると、1 か月後に「何も決まっていない」という状態になりません。

よくある質問

Q. 準備が整うまで、依頼は待ったほうがいいですか

いいえ。困りごとを 1 文にすること、窓口を決めること、この 2 つだけで始められます。資料や権限は、進めながら足して構いません。完璧に整えようとすると、たいてい半年たっても始まりません。

Q. 社内に反対する人がいます。どうすればいいですか

反対の中身を分けてください。「やり方を否定されるのが嫌」なのか、「業務が増えるのが困る」のかで、対処が違います。前者は、専門家に「まず聞く」立場から入ってもらうことで和らぎます。後者は、その人の業務を減らす打ち手を最初の 1 つに選ぶと変わります。

Q. どこまで自社の内情を見せるべきですか

最初の 1 か月は、判断に必要な範囲だけで構いません。試算表と組織図があれば、たいていの課題は見えます。ただし、**都合の悪い数字を隠すと、打ち手がずれます。**出せないものは「出せない」と伝えてください。隠すのと、出せないと伝えるのは別です。

出典と確認日

  • 会社法 327 条の 2(社外取締役の設置義務)。2021 年 3 月 1 日施行。上場会社等に社外取締役を 1 人以上置くことを義務づけた規定です。中小企業に同じ義務はありませんが、「社内の利害から独立した目を制度として置く」という考え方は同じです。条文は e-Gov 法令検索でご確認ください。確認日 2026-09-18
  • フリーランスへの発注に関する取引条件の明示義務、支払期日、禁止行為については、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の案内をご確認ください。自社の取引が対象になるかは、発注の形態によって変わります。確認日 2026-09-18
  • 個人情報を委託先へ渡す場合の取り扱いについては、個人情報保護委員会のガイドラインをご確認ください。確認日 2026-09-18

制度の内容は改正されることがあります。**このガイドの記述と官公庁の案内が食い違う場合は、官公庁の案内が正しいものとしてお読みください。**次回の見直しは 2026 年 12 月を予定しています。

このガイドは公開情報をもとに AI の補助で下書きし、PRONOWA 運営が確認・加筆しています。 このガイドは一般的な考え方をまとめたもので、個別の助言ではありません。個別の判断が要ることは、弁護士・税理士・社会保険労務士にご確認ください。