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正社員採用と業務委託の違い
費用の考え方、任せられる範囲、向き不向き。どちらかが正しいのではなく、課題の形で選び方が変わります。
「経理部長が辞めた。次をどうするか」という場面で、選択肢は 2 つあります。正社員を入れるか、外部の専門家に業務委託で入ってもらうか。
どちらが正しいということはありません。**課題の形が違えば、答えも変わります。**このガイドは、その選び方を整理したものです。
費用は、額面だけで比べない
正社員の費用は、給与だけではありません。社会保険料の会社負担、賞与、退職金の引当、採用にかかる費用、教育にかかる時間。これらを足したものが、実際にかかる費用です。
業務委託の費用は、原則として報酬額だけです。ただし、社内で面倒を見る時間は別途かかります。誰も見ない状態で置くと、成果が出ません。
比べるときは、次の形にしてください。
| 見る項目 | 正社員 | 業務委託 |
|---|---|---|
| 直接の費用 | 給与、賞与、社会保険料の会社負担、退職金の引当 | 報酬 |
| 入り口の費用 | 採用にかかる費用、教育にかかる時間 | 選ぶ手間、立ち上がりの説明 |
| 出口の費用 | 簡単には辞めてもらえない | 契約の期間で終えられる |
| 変動のさせやすさ | 低い | 高い |
**「業務委託のほうが安い」とは限りません。**専門性の高い人に週 1 日入ってもらう単価は、正社員の時給換算より高いのが普通です。安くなるのは、必要な量だけ買えるからです。
任せられる範囲が違う
正社員には、業務命令ができます。時間や場所を指定できますし、業務の内容も会社が決められます。
業務委託では、これができません。**仕事の進め方を細かく指揮命令すると、契約の形と実態がずれます。**実態が雇用に近いと判断されると、社会保険や労働時間の取り扱いで問題になります。
実態がずれやすい 4 つの場面
- 出社する時間と退社する時間を指定している
- 業務の順番や進め方を逐一指示している
- 本人の代わりに別の人を立てることを認めていない
- 他社の仕事を受けることを禁じている
この 4 つに当てはまる数が多いほど、実態は雇用に近づきます。業務委託で頼むなら、「何をいつまでに」を決めて、やり方は任せてください。
課題の形で選ぶ
正社員が向く場合
- 毎日の定型業務が一定量ある
- 社内の人間関係の中でしか進まない仕事がある
- 会社の歴史や事情を長く覚えておく必要がある
- 5 年、10 年の単位で育てたい
業務委託が向く場合
- 課題がはっきりしていて、期間が見える
- 求める専門性が高く、社内で育てるには時間がかかりすぎる
- 必要な量が週 1〜2 日で足りる
- 今は判断材料が欲しいだけで、実行は社内でできる
両方を組み合わせる場合
実務でいちばん多いのは、この形です。**設計は外部、運用は社内。**規程やしくみを外部の専門家に作ってもらい、日々回すのは社内の人がやる。こうすると、外部に払う費用は立ち上げの期間だけで済みます。
判断の順番
- 課題を 1 文にする。「何が、どうなっていて、どうしたいか」。
- **その課題に、毎日の作業がどれだけあるかを見る。**作業が多ければ正社員、判断が多ければ業務委託です。
- **期間を見る。**終わりが見えるなら業務委託が向きます。
- **社内に受け止める人がいるかを見る。**いなければ、まず業務委託で設計だけ頼み、運用は後から考えます。
- **費用を上の表の形で比べる。**額面だけで比べない。
業務委託で始めるときの注意
週 1 日は「週 1 日分」しか進まない
当たり前のようですが、見落とされます。週 1 日で入ってもらう人に、正社員 1 人分の期待をしないでください。最初の 1 か月は、現状を理解する時間にほぼ使われます。
社内の窓口が要る
外部の人は、社内の誰に何を聞けばよいか分かりません。窓口を 1 人決めて、その人が社内へ取り次ぐ形にしてください。窓口がないと、質問が経営者に集中します。
終わり方を先に決める
契約の期間と、途中で終える場合の手続きを先に決めます。**継続している取引を打ち切るときは、あらかじめ知らせることが必要になる場合があります。**取引条件の明示や支払期日とあわせて、ガイド「フリーランスに仕事を頼む企業の義務」をご覧ください。
「社内にいないから外から」だけで決めない
外部に頼む理由が「社内に人がいないから」だけだと、入ってもらった後で困ります。人がいないということは、受け止める人もいないということだからです。
先に決めることが 2 つあります。
- **入ってもらった人の成果を、誰が受け取るか。**経営者本人でも構いませんが、その場合は時間を確保してください。
- **その成果を、誰が日々回すか。**回す人がいないなら、回す作業まで含めて頼むのか、仕組みを簡素にして社内で回せる形にするのかを決めます。
2 番目を決めずに設計だけ頼むと、立派な規程やしくみができて、誰も使わないまま止まります。
期間で考える目安
| 期間 | 向く形 | 例 |
|---|---|---|
| 1〜3 か月 | 業務委託(仕事の完成を約束する型) | 規程の作成、原価計算のしくみ作り、システムの選定 |
| 3〜12 か月 | 業務委託(業務の遂行を約束する型) | 月次決算の立て直し、部門別の管理を根づかせる |
| 1 年以上、毎日の作業がある | 正社員 | 日々の記帳、給与計算、問い合わせ対応 |
| 1 年以上、判断だけ | 業務委託(月 1〜2 回) | 経営会議への同席、数字の読み方の助言 |
いちばん下の形は、社外取締役に近い使い方です。毎日いる必要はないが、社内の利害から離れた目が要るという場面で効きます。
社内への説明で使える言い方
「人を採る代わりに外部に頼む」と言うと、社員は「うちが信用されていない」と受け取ります。次のように分けて説明すると伝わります。
- **足りないのは人手ではなく、経験です。**その経験を持つ人を、必要な期間だけ借ります。
- **日々の業務は、これまでどおり皆さんがやります。**外部の人がやるのは、やり方を整えるところまでです。
- **期間を決めています。**いつまでにどうなっていれば終わりか、を先に決めました。
よくある質問
Q. 業務委託で入ってもらった人を、後から正社員にできますか
できます。実際、そうなる例はあります。ただし、**最初から「試用のつもり」で業務委託を使うのは避けてください。**目的が採用の見極めなら、指揮命令が必要になり、実態が雇用に近づきます。
Q. 週 1 日で、本当に何か変わりますか
課題を 1 つに絞れば変わります。月次決算が翌月 25 日にできあがっているのを 10 日にする、といった目標なら、週 1 日でも 3 か月で形になります。同時に 3 つ頼むと、どれも動きません。
Q. 顧問税理士がいます。それでも別に頼む必要がありますか
税理士の本務は税務です。月次の数字を経営判断に使える形にすること、原価や部門別の見方を作ることは、税務とは別の仕事です。いまの顧問に不満があるかどうかではなく、頼んでいる範囲が何かで判断してください。
出典と確認日
- 会社法 327 条の 2(社外取締役の設置義務)。2021 年 3 月 1 日施行。条文は e-Gov 法令検索でご確認ください。確認日 2026-09-18
- 業務委託と雇用の区分(いわゆる労働者性の判断)については、厚生労働省の案内をご確認ください。判断は個別の実態にもとづきます。確認日 2026-09-18
- フリーランスへの発注に伴う義務は、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の案内をご確認ください。確認日 2026-09-18
**このガイドの費用の表は、項目の挙げ方を示したものです。具体的な金額や料率は書いていません。**社会保険料の料率は年度で変わるため、計算するときは最新の料率表をご確認ください。次回の見直しは 2026 年 12 月を予定しています。
このガイドは公開情報をもとに AI の補助で下書きし、PRONOWA 運営が確認・加筆しています。 このガイドは一般的な考え方をまとめたもので、個別の助言ではありません。個別の判断が要ることは、弁護士・税理士・社会保険労務士にご確認ください。
