デューデリジェンスで何を見られるか。売り手と買い手、両方の側から
会社を買う前に行う調査を、デューデリジェンスと呼びます。買い手にとっては「思っていたのと違う」を防ぐ作業で、売り手にとっては先に手当てしておけば値段が下がらずに済む作業です。
中小企業で実際に問題になりやすいのは、財務よりも労務と契約です。
見られる項目
| 分野 | 見られること |
|---|---|
| 財務 | 売掛金は回収できるか。在庫は売れるか。簿外の債務は無いか。決算書と実態が合っているか |
| 税務 | 申告の内容に無理は無いか。過去の処理で指摘を受けそうなものは無いか |
| 労務 | 残業代の未払いは無いか。社会保険の加入漏れは無いか。就業規則は実態に合っているか |
| 法務 | 主要な契約書はあるか。取引先が変わると解除される条項は無いか。係争中の案件は無いか |
| 事業 | 売上が特定の取引先に集中していないか。許認可は引き継げるか。設備の状態はどうか |
| IT | 業務が特定のソフトや個人に依存していないか。データは残るか |
中小企業でとくに出やすい 3 つ
1. 残業代と社会保険
固定残業代の設定が実態と合っていない、管理監督者の扱いが実態と違う、パートの社会保険の加入基準を満たしているのに未加入、といった点です。
**過去にさかのぼって請求される可能性があるため、買い手はここを厳しく見ます。**金額が読めないと、その分を値段から引くか、譲渡後に問題が出たら売り手が負担する約束(表明保証)を求めることになります。
2. 契約書が無い、または条項が不利
長年の取引先と契約書を交わしていない。あっても、支配権が変わったら相手が解除できる条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)が入っている。
前者は「取引が続く保証が無い」、後者は「譲渡した瞬間に取引が切れるかもしれない」と見られます。
3. 社長個人と会社が混ざっている
役員貸付金、社長名義の不動産を会社が使っている、社長個人の保険を会社が払っている、取引先との関係が社長個人のもの。
**買うのは会社であって、社長ではありません。**社長が抜けても残るものと、抜けたら消えるものを、売り手自身が仕分けておく必要があります。
売り手が、先にやっておけること
調査が始まってから直すことはできません。次の順で、時間のかかるものから着手します。
- 労務の点検(就業規則、残業代の計算方法、社会保険の加入状況)
- 主要な取引先との契約書をそろえる
- 役員貸付金など、個人と会社の混在を解消する
- 決算書と実態の差(不良債権、不良在庫)を整理する
- 社長にしか分からない業務を、手順書にする
**1 と 3 は、数か月から年単位かかります。**譲ると決める前から始めておくほうが確実です。
買い手が、限られた時間で優先すること
すべてを同じ深さで調べる時間はありません。中小企業では、次の順で見ることが多いです。
- 労務(金額が読めず、あとから出てくる)
- 売上の集中度と、その取引が続くかどうか
- 簿外の債務と、決算書と実態の差
- 許認可が引き継げるか
資料は、聞かれる前に一覧にしておく
売り手側は、求められる資料をあらかじめ一覧にしておくと、調査の期間が短くなります。決算書・申告書・総勘定元帳・就業規則・雇用契約書・主要な取引の契約書・許認可の書類・不動産の権利関係・保険の証券。
**出すのが遅い会社は、隠していると見られます。**中身に問題があっても、先に開示したほうが話は進みます。
外部の専門家に頼む範囲
財務の調査は財務経理の経験者、労務は社労士、契約は弁護士と、分野が分かれます。売り手側の事前の点検も同じで、まず労務からという順番で頼む例が多いです。
出典: 本記事は運営の実務経験と公開情報をもとにした整理です。法務・労務・税務の判断は個別の事情によります(確認日: 2026-09-25)。
この記事は公開情報をもとに AI の補助で下書きし、PRONOWA 運営が確認・加筆しています。法務・労務の判断は個別の事情によります。必ず弁護士・社労士にご確認ください。
